• 岩手県唯一の中央卸売市場水産部から、あれやこれやの情報・話題をお届けします!

こんにちは。モリ介(仮)です。今日も何とかお届けしていきます。

今朝の卸売場は、いつもの週末よりも、バタバタ感がいっぱい。商売だもの、

やっぱり市場はこうでなくちゃ。とはいえ、いつもお話を聞く担当者や

仲卸の皆さんも、お客さんとのやり取りで精一杯。あ、ネタになりそうなものも

色々と揃ってるな~。6キロもの超巨大ヒラメでしょ。5キロオーバーのマダラでしょ。

クロダイにシマアジにメゴチなどなど。でもまあ、あまり欲張らなくてもいいか。

今週、すでに押さえた写真もあるし。というわけで、少し大げさだけど、

蔵出し、と、させてください。あ、昨日の記事での、宮古産カツオ、脂たっぷりだった

そうです。今日の気仙沼産も、脂たっぷり。担当者の話では、もうしばらくは続きそう、

とのこと。でも、結局は自然が相手。突然に魚影がいなくなることも、珍しい事ではない。

ですので、生カツオが大好きな皆様、食い納めのつもりで、とにかく売場へ走るべし。

いつかはわからないけど、脂は無いが赤身の味わい深いカツオに切り替わる時が

来ちゃいます。赤身は赤身で美味ですけどね。それでは、木曜日に出会ったこちらから。

愛媛県産のヤガラ、10尾入りで7.9キロです。左上に20センチスケールが

乗ってますけど、くちばし?だけで、30センチはある。これどうやって

食べるの? その前に、正面からお顔を撮らせていただきました。

見た目のインパクトが強いせいか、ネットには情報が結構多い。中骨が硬くて

切るのが大変、とか、刺身は甘味があって非常に旨い、とか、鍋ものにすると

出汁が出る、とか。食べるところが無さそうだけど、思ったよりも量はある、が、

歩留りが悪いので、結局高級魚、なんて書き込みも。ん? どっち?

量販店には並ぶことはないだろうから、専門店か料亭さんのような外食系じゃないと

出会う事はむずかしいかも。でも、一回は食べてみたい、と思ったモリ介(仮)でありました。

今、”歩留り”って書いたんだけど、ちょこっと前、モリ介(仮)嫁との会話で、歩留りという

ワードが出た。 モリ介(仮)嫁「ぶどまりって何?」 モリ介「歩留り知らないの?」

モリ介(仮)嫁「なんそれー?」 お前は金髪芸人かよ!

歩留りとは、食べられない部分を含めた全体に占める、食べられる部分の割合のこと。

魚まるごと1尾の中でも、頭やエラ、骨は食べられないとすると、食べられる部分は限られる。

魚1尾の価格は、大体がキロ単価。歩留りを考慮しないで、キロ単価で原価計算をすると、

利益はどっか行っちゃいます、という話。例えば、カツオがキロ1000円だったとする。

1尾1キロのカツオは、当然1尾1000円という価格。これを丸のまま売るんだったら、

1000円が原価でいいけど、刺身や四半身なんかで売るとすると、頭や骨など、

捨てた部分の単価もキロ1000円だから、その分の原価を刺身や四半身で回収しないと

ダメですよね? そこで”歩留り”の考え方が必要になってきます。カツオの歩留りを

50%とすると、先の例でいうと、1000円÷50%=2000円で、これがキロ当たり

の原価。100g当りに直すと、200円が原価になる、という意味。もちろん、

魚の種類は当たり前だけど、魚をさばく腕によっても、歩留りは違ってくるよ。中骨に

身がたっぷりついたまま、では歩留りが悪いのは当然。だから、お店によって、歩留率も

それぞれなはず。いわゆる一つの企業秘密かな? でも、実は、東京の豊洲市場で、

参考になる魚種別の歩留率表が、毎年発表になってる(はず)。興味がある方は、

探してみてください。で、”歩留り”でいうと、大昔、モリ介(仮)が営業だった頃、

こんなことがあった。あるお店の経営を引き継いで、何人かの人を雇い入れ、

小売業を始めた方がいらっしゃった。お魚部門を任せた方が慣れるまで、しばらく

市場へお越しになって、仕入れと、部門のオペレーションをされていた。

その部門の責任者が、ようやくお店のオペレーションが出来るようになり、件の

経営者は、市場仕入れと経営に専任することになったんだけど、仕入れの量も

だんだんと増えていき、経営は順調かと思われた。すると、モリ介(仮)に

こんな電話が。「あの野郎(魚部門の担当責任者のこと)、とんでもない奴だった。

歩留りの事を知らないで、魚のキロ単価をそのまま使って、売価を決めてやがった。

バカみたいにカツオが売れると思ったよ。ずっと半額ご奉仕をしてた!」

さすがに笑えない話だったよ。でも、カツオの身おろしが出来るのに、歩留りを

知らないって事、あるの? ウソのような、ホントの話でした。そして、

その経営者の方だけど、その後、別業種でもって、立身出世をされ、

3ケタ億円企業のトップとして、現在ご活躍されてます。逆風をものともしない

その強い気持ち、持ってる人は持ってるんだな~、と感じ入った次第。

さて、エピソードも色々書いてきたけど、実は過去の記録は全く取ってない。

エピソードにタグ付けするのも変だし、データベース化もめんどくさい。

何を言ってるかというと、また同じ話を書くかも、書いちゃったらごめんなさい、

ということ。「また、同じことを書いてやがる。」と、スルーしてくれると

ありがたいです。あ、そろそろ締め切り。また来週にお目にかかります。